柿沼唯

1961年神奈川県生まれ。東京芸術大学で作曲を松村禎三氏に師事。また、尺八、能楽、雅楽などの日本の伝統音楽やガムラン、インド音楽を学ぶ。
1988より約8年にわたり武満徹氏のアシスタントを務め、薫陶を受ける。
第一回出光音楽賞、「今日の音楽」作曲賞第2位、Marcelle et Robert de Lacour財団賞等受賞。
国内外オーケストラからの委嘱、室内楽曲、また、オルガン曲のレパートリーはヨーロッパ各地および日本でたびたび演奏されている。
聖グレゴリオの家宗教音楽研究所 教会音楽科、武蔵野音楽大学講師。
Yui Kakinuma Scores: https://artspublish.base.shop/


Yui Kakinuma Organ Works

Recorded at Shinjuku Bunka Center 4th Dec. 2021
2021年12月、日仏のトップ・オルガニストたちにより演奏された、「オルガン花鳥風月――柿沼唯の世界」(新宿文化センター大ホール)。
ミシェル・シャピュイや早島万紀子らとの邂逅によりもたらされた、柿沼オルガン曲の一つの集大成。
初録音を含む貴重な記録として、内外/後世に広く伝えるべく、多くの人々の尽力により公開が実現した。

エコーとナルキッソス / Echo and Narcissus (2005)
野田美香 / Mika Noda: Organ


四月織 / Tapisserie d'avril (2006)
高橋博子 / Hiroko Takahashi: Organ


蓮花 / Lotus (2006)
早島万紀子 / Makiko Hayashima: Organ


巡礼の笛 / Vents de pèlerinage (2010)
石丸由佳 / Yuka Ishimaru: Organ


フーガ「月」 / La Lune -fugue pour orgue (2012)
ジャン=フィリップ・メルカールト / Jean-Philippe Merckaert: Organ


フーガ「太陽」 / Le Soleil -fugue pour orgue (2012)
いとうけい / Kei Itoh: Organ


華 / Hana (2012)
小島弥寧子 / Mineko Kojima: Organ



レクイエム / Requiem (2015)
観明子 / Akiko Kan Dieu: Organ


かきつばた / Kakitsubata (2017)
川越聡子 / Satoko Kawagoe: Organ


フーガ「星」 / Les étoiles -fugue pour orgue (2018)
観明子 / Akiko Kan Dieu: Organ



Puer natus est nobis (violin solo)

Puer natus est nobis(幼子われらに生まれ)は、クリスマスに歌われるグレゴリオ聖歌puer natus est nobisの旋律に基づく無伴奏ヴァイオリン曲として2006年、作曲者の親しい友人に新しい家族が生まれたお祝いに作曲された。曲は、定旋律に基づく主題と6つの変奏で構成されている。

柿沼唯 作曲、滝千春 ヴァイオリン

"Puer natus est nobis" inspired by Gregorian chant of the same name usually sung in Christmas, was written for Kakinuma's friend and his newborn child as a violin solo in 2006. It consists of a theme based on Cantus Firmus, and 6 variations.

Salve Regina for violin solo



グレゴリオ聖歌の中でも最も名高いものの一つ"Salve Regina"の旋律を用いて作られた、無伴奏ヴァイオリン曲。
初演も担当したヴァイオリンの滝千春は、オイストラフ国際コンクール第三位、小澤征爾をはじめ世界中の指揮者/オーケストラとの共演を経て、2019年よりミュンヘン放送管弦楽団のアシスタントコンサートミストレス就任というワールドクラスの奏者で、一時帰国中に撮影が行われた。
ピリオド奏法の知見を採り入れつつ高度な技巧を発揮した滝の演奏は、柿沼の曲に見事に合致している。
YouTube初出。


Hana 華 for organ



パイプオルガンのあるお寺として知られる築地本願寺の委嘱により作曲、2013年、親鸞聖人750回大遠忌記念に初演されました。キリスト教ではなくお寺の文脈からこのようなパイプオルガンの作品が生まれたことは非常に意義深く貴重な作品となりました。
オルガンは築地本願寺のオルガニストを務め(2005-2014年)、この曲の初演も担当した小島弥寧子。
柿沼唯によると、「華」は蓮/睡蓮であるとのこと。急遽早朝に蓮/睡蓮の撮影も行い、合わせて映像にしました。
YouTube初出の楽曲、Official Movieになります。
川口リリア コンサートホールのご協力を得て同ホールにて撮影。


Tapisserie d'avril 四月織



日本伝統の歌曲である「さくらさくら」と、中世フランスで作られた「Victimae Paschali」という、共に四月に歌われる楽曲をモチーフとして織り込んだものです。
「Victimae Paschali」はキリストの復活を題材にしたセクエンツァで、後にトレント公会議にてセクエンツァの殆どが典礼で使用禁止となった際にも歌うことが許可された4曲のうちの1つです。